性能に起因する要素Ⅰ
飛距離 | 短 | → | 長 | ||
---|---|---|---|---|---|
錘 | 総重量 | 軽 | → | 重 | |
位置 | 前 | → | 後 | ||
構造線= ボディー フックアイ |
位置 (※注1) |
前 | → | 後 | |
ミノー サイズ |
総容量 | 大 | → | 小 | |
長さ | 長 | → | 短 | ||
使用目的 | レイク トローリング |
リバーサイド アップ キャスティング |
リバーサイド ダウン&クロス キャスティング |
レイクサイド キャスティング |
- 注1
ボディーフックアイの前後に錘を配置する場合
性能に起因する要素Ⅱ
沈降速度 | 遅 | → | 速 | ||
---|---|---|---|---|---|
錘 | 総質量 | 軽 | → | 重 | |
位置 | 後 | → | 前 | ||
重心 | 高 | → | 低 | ||
構造線= ボディー フックアイ |
位置 (※注1) |
後 | → | 前 | |
構造線= ラインアイ |
位置 (※注2) |
高 | → | 低 | |
角度 | 上 | → | 下 | ||
ミノー サイズ |
総容積 | 大 | → | 小 | |
長さ | 長 | → | 短 | ||
リップ | 角度 | 大 | → | 小 | |
長さ | 短 | → | 長 | ||
幅 | 狭 | → | 広 | ||
位置 | 後 | → | 前 | 使用目的 | レイクサイド キャスティング |
リバーサイド ダウン&クロス キャスティング |
リバーサイド アップ キャスティング |
レイク トローリング |
- 注1
ボディーフックアイの前後に錘を配置する場合 - 注2
リップからの位置
性能に起因する要素Ⅲ
ローリング | 小 | → | 大 | ||
---|---|---|---|---|---|
錘 | 位置 | 後 | → | 前 | |
重心 | 高 | → | 低 | ||
構造線= ボディーフックアイ |
位置 (※注1) |
後 | → | 前 | |
構造線= ラインアイ |
位置 (※注2) |
高 | → | 低 | |
角度 | 上 | → | 下 | ||
縦横 | 縦 | → | 横 | ||
ミノー形状 | 縦幅 | 小 | → | 大 | |
横幅 | 大 | → | 小 | ||
底面のR | 大 | → | 小 | ||
リップ | 角度 | 大 | → | 小 | |
長さ (※注3) |
短 | → | 長 | ||
幅 (※注3) |
広 (周波数小) |
→ | 狭 (周波数大) |
||
位置 | 後 | → | 前 |
- 注1
ボディーフックアイの前後に錘を配置する場合 - 注2
リップからの位置 - 注3
リップの角度が小の場合
性能に起因する要素Ⅳ
ウォブリング | 小 | → | 大 | ||
---|---|---|---|---|---|
錘 | 位置 | 前 | → | 後 | |
重心 | 高 | → | 低 | ||
構造線= ボディーフックアイ |
位置 (※注1) |
前 | → | 後 | |
構造線= ラインアイ |
位置 (※注2) |
高 | → | 低 | |
角度 | 上 | → | 下 | ||
縦横 | 横 | → | 縦 | ||
ミノー形状 | 縦幅 | 大 | → | 小 | |
横幅 | 小 | → | 大 | ||
底面のR | 小 | → | 大 | ||
リップ | 角度 | 小 | → | 大 | |
長さ (※注3) |
短 | → | 長 | ||
幅 (※注3) |
広 (周波数小) |
→ | 狭 (周波数大) |
||
位置 (※注3) |
後 | → | 前 |
- 注1
ボディーフックアイの前後に錘を配置する場合 - 注2
リップからの位置 - 注3
リップの角度が大の場合
用途別 性能に起因する要素の組み合わせ
用途 | レイクトローリング リバーサイドアップ キャスティング |
リバーサイドダウン& クロスキャスティング レイクサイドキャスティング |
|
---|---|---|---|
用途詳細 | ディープシンキング ファストシンキング | スローシンキング サスペンド フローティング |
|
対処方法 | 飛距離 | 短 | 長 |
錘・位置 | 前 | 後 | |
沈降速度 | 速 | 遅 | |
リップ (角度) |
小 (※注1) |
大 (※注1) |
|
リップ (長さ) |
長 | 短 | |
対処方法 による アクション |
ローリング | 大 | 小 |
ウォブリング | 小 | 大 | |
追加方法 による アクション の補正 |
ローリング 増強 |
必要性小 | 必要性大 |
ミノー形状 (縦幅) |
小 | 大 (平打ちパターン) |
|
リップ 角度 |
大 (※注1) |
小(45度以下) (※注1) |
|
ウォブリング 増強 |
必要性大 | 必要性小 | |
ミノー形状 (横幅) |
大 (ツイストパターン) (ダブル凸パターン) (シングル凸パターン) |
小 | |
ミノー形状 (底面R) |
大 (※注2) |
小 (※注2) |
|
リップ 角度 |
大 (45度以上) (※注1) |
小 (※注1) |
- 注1
用途別対処方法と追加方法の矛盾点 - 注2
用途別使用方法(高速リーリング)と追加方法の矛盾点
現状における考察
リアルイミテーションミノーとは如何なるものか、それを表現するためにはどのような要素が必要なのか、想像されるいくつかの要素のうち、今回、プラグミノーのアクションについて考察した。
下記1~4に示される用途別に必要な構造上のアクションと、その欠点を補う追加構造により得られるアクションを、表5「用途別 性能に起因する要素の組み合わせ」にまとめた。
- レイクトローリング:アウトリガーシンカー、ドジャーおよびレッドコアラインを使用しない場合、キャスティング性能(飛距離)より、高度の潜行能力(沈降速度)を要す。
- リバーサイドアップストリームキャスティング:流れ込みから最深部に短時間で到達する比較的高度の潜行能力を要す。ある程度のキャスティング性能と流速より速いリーリングに耐えることができる安定感のある構造を要す。
- リバーサイドダウン&クロスストリームキャスティング:広いレンジをカバーできるキャスティング性能を要す。流心の最深部に比較的短時間で到達する潜行能力とドラグの張力でもアクションが生まれる構造を要す。
- レイクサイドキャスティング:フローティングミノーでも広いレンジをカバーできるキャスティング性能を要す。ボトムからサーフェイスまでをカバーできる潜行能力のバリエーションを要す。
レイクトローリングやリバーサイドアップストリームキャスティングでは、キャスティング性能より潜行能力が重要となり、前方重心で角度が小さく長いリップが必要となる。リバーサイドダウン&クロスストリームキャスティングやレイクサイドキャスティングでは、潜行能力よりキャスティング性能が重要となり、総質量の軽いフローティングミノーほど後方重心で角度が大きく短いリップが適した構造となる。
前方重心で角度が小さく長いリップのミノーは、ローリングアクションが大きくウォブリングアクションが小さいため、ウォブリングアクションを大きくする形状の追加と、用途に必要な構造と矛盾するリップの角度の増加最適化が必要となる。後方重心で角度が大きく短いリップのミノーは、ウォブリングアクションが大きく、ローリングアクションが小さいため、ローリングアクションを増強させる形状の工夫と、用途に必要な構造と矛盾するリップの角度の減少最適化が必要となる。
ウォブリングアクションを増強させる工夫として、横幅が大きく左右の側面より抵抗を受ける形状のミノーを考案・テストした結果、オリジナルツイストパターン(写真1)、オリジナルダブル凸パターン(写真2)、オリジナルシングル凸パターン(写真3)、底面Rパターンなどで良い釣果を得ることができた。
ウォブリングアクションの周波数は、底面R、シングル凸、ダブル凸、ツイストの順に大きくリズミカルな動きとなり、高速リーリングにも耐える。当然、底面Rが大きいミノーは周波数が小さく大きな振幅となり、高速リーリングやトゥイッチングでバランスが崩れる。周波数の小さい底面Rやシングル凸パターンは、高速リーリングの必要性の少ない、後方重心ミノーのウォブリングアクションの補強(写真4、写真5)に使用すると、良い結果が得られるようである。
前方重心のミノーは、用途上、高度の潜行能力が求められ、リップの角度はディープシンキングミノーにおいて最小となる。ウォブリングアクションの少ない前方重心ミノーの欠点を補うためには、リップの角度を大きくしたいところであるが、必要な性能が維持できなくなる。現在まで、形状の工夫を取り入れたミノーを幾度となくテストしたが、ウォブリングアクションは十分に補強されており、用途に最適なリップの角度を変更することなく、「シンキングでありながら動きの良い」ミノーをリリースすることができたと考えている。
ローリングアクションを増強する工夫については、重心が低位置で浮力の中心が高位置となる縦幅が大きく、横幅の小さい、垂直軸に対し振幅する平打ちパターン(写真4、写真5)を作成した。後方重心のミノーは用途上、高度の潜行能力の必要性は少なく、リップの角度はフローティングミノーにおいて最大となる。ただし、ローリングアクションを増強したい後方重心ミノーにおいては、リップの角度は45度以下になる。残念ながら、リップの角度を45度以上に維持し、なおかつ、ローリングアクションを引き出せる形状は、現在のところ試作段階で公表に値しない。
新素材のタングステン錘の比重は19.3で鉛の約2倍。ハンドメイドバルサミノーを、大物の潜むボトムにプレゼントすることが可能となり、バルサミノーの重心すなわち動く支点がコンパクトになり、前後左右上下の動きが数段シャープになった。わかさぎのスポーニングの時期に使用するフローティングミノーやソルトウォーターのアメマス・サクラマスに効果のあるサスペンドミノーなど、「ミノーは動けば動くほど良い」とは限らない。しかし、よく動くミノーをテクニックによって漂わせることはできても、動きの悪いミノーをテクニックだけで動かすことはできない。リアルイミテーションミノーを追及するときに、やはり「動き」という要素が一番の要素ではないかと我々は考える。
現在のところ、バルサの浮力とタングステンの錘の組み合わせに勝るハンドメイドミノーの素材はなく、未開発の要素の多い世界である。今後、カラー・トーン・キラメキなど計量化された客観的な報告ができればと考えている。